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【企画取材】高円寺 蜻蛉玉ばぶるすさん

高円寺の北口、パル商店街にある、「蜻蛉玉ばぶるす」さんは、
高円寺の中でも、お気に入りのお店のうちのひとつです。

落ち着いた色調の木と白い壁。色とりどりのとんぼ玉が並び、
アンティークな小物、蛙や象、ヤモリ、亀、梟などの置き物が、
そこここに顔を出し、目がほころんでしまいます。
店内でかかっている音楽が、外から歩いてきた雑感をぬぐってくれます。

眺め歩くと、ときどき、床の木のきしむ音がします。この音がたまりません。
真夏にお寺に行ったときの、蝉の声と、自分が歩く足音だけしか聞こえない、
あの静寂の中、こころが澄んでゆくのを実感する瞬間が、
ばぶるすさんにはあるのです。


「ばぶるすとは、泡。無常で、よどみに浮かぶうたかたです。
 とんぼ玉は、ガラス玉ですが、作るからには、使命を持っていたい。
 必ず変っていくもので、自分も変るし、そうじゃなきゃいけない。
 ゴールなんてない、あるわけがないんです。
 探究心がなくなったら終わりです。モチベーションを保つこと。
 70歳になっても、学ぼう、
 想像しようという気持ちを持ち続けて行きたいです」

店長の星野雅彦さんは、愛知県出身。

 「小さい頃から作るのが大好きで、考えてばかりでした。
 ダンボール1個出されると、まず考えて、
 えー、これがさっきのダンボール!?
 と驚かれるようなものを作ることが大好き。
 幼稚園の先生に文集で、
  『つくることが大好きな、まー君。考えるのが大好きな、まー君。
   どうぞ、そのまま大きくなってください』
 という言葉を頂きましたが、今でも心に残っています」

どうやら幼稚園の先生の願いが届いたようです。
地元で大工さんを経験後、上京します。

 「そもそもの上京の目的は、文芸の同人誌を立ち上げ、
  バンド活動と、劇団旗揚げでした。
  それぞれで柱となって活動してきた時間が、
  今、現在、とても役に立っています。振り返ってみれば、
  この経験を経たことで、今がある、こうなったんだと思います」

その後、星野さんは、
「シミズ舞台工芸」という、舞台美術専門の会社に就職します。
日本のコンサートの8割を担うという大手の「シミズ舞台工芸」。
有名なアーティストのコンサートなど多数作ってきたそうです。
大工さんの時に培った技術と、シミズ舞台工芸さんで学んだ、
会場設営、舞台制作などが、今のお店作りに活かされていたのです。

 「自分が本当にしたいことは何か疑問に感じ、
 29歳のときにインドへ向かいました。あとから考えれば、結果的に、
 自分が本当にしたいこと、自分の頭の地図の中で、
 ひとまず、自分の居場所を確認することができました。
 そして、次にどこへ行こうかと考え、インド旅行から帰ってくると資金をため、
 はじめは友人とともにインドネシア、インド、タイ、ベトナムなどの
 アジア雑貨の輸入会社をたちあげました。
 そんな中、アジア雑貨のなかのガラス細工、ビーズに特化していこうと決め、
 4年目の2004年にとんぼ玉専門店としてショップをオープンしました。
 アジアのガラスは、織物と同じで、
 それぞれの国の歴史や風土などの特徴があります。
 日本には、江戸とんぼと、現代とんぼがあり、
 現代とんぼは、現代アートとして、可能性があると感じたんです」

お店の中に入ったときの一体感と、とんぼ玉、ひとつひとつの抜群の存在感。
一周した時はみつからなかったのに、二週目で
「あ!こんなのあったんだ!すてき!」とみつかったときの喜びなど、
何度行っても飽きない、わくわくするお店の理由は、
こんなところにあったのかも知れません。

 「2月のリニューアルオープンでは、木工仕事が大好きですので、
 20日間かけ、全部、ひとりで作りました。
 大まかなイメージがあったので、図面などはひきませんでしたが、
 大正時代の建物が好きで、あたたかい感じ、
 薄暗い感じにしたかったんです。和の魂で洋の様式を取り入れる、
 言わば、ウッディーでモダン、シック、アンティークを目指しました。
 木は全部、杉のムクを使ってます。
 加工していない木で、節がいっぱいあるのが好きなんです。
 節の中って、細分化する組織を作っているのが、
 複雑怪奇で面白いんですよ。
 同じ材木で床もテーブルも作りました。竹は高知の虎ふ竹を使っています。
 明治時代からやっている専門のお店があり、ずいぶん探しました。
 壁は、京都のしっくい。扇型にいっきにぬっていくんです。
 このしっくいは、空気の汚れを吸着し分解し続けるんです。
 ですから、ばぶるすは、ずっと空気が綺麗なんです。
 天井は格子を組んで和紙を張って、
 真ん中は飛び石っぽく四角を曲線に並べてみました」

さすが、大工さんとしてお家や、シミズ舞台工芸で舞台を作ってきた星野さん。
たったひとりで全部作ってしまうなんて圧巻です。
天井も作ってしまったというから驚きでした。お店はこれで完成ではなく、
残った廃材で新たにケースを作ったりと、まだまだ増殖・進化中のようです。
星野さんがいいと思った、木、竹などを充分使って作りあげた、
ばぶるすさんでは、千差万別のとんぼ玉が一期一会の輝きで鎮座し、
お店自体が、お客様との出会いを静かに迎え入れてくれます。

 「日本人にはもともと、完成させない、完成させたくない。
 完成したものは壊れる、朽ちてゆく無常のものだから、あえて完成させない、
 という考え方があるんですよ。
 たとえば、お相撲は、昔は神事でした。
 土俵の東西南北の4ヵ所の俵を『徳俵』といって、
 少しだけ飛び出ている部分がありますよね? 
 このおかげで、大逆転が起き、相撲を楽しむ醍醐味に繋がります。
 日本は徳俵のように0か100か…ではない、
 中途半端、あいまいというものに趣をおいてるんです。
 また、法隆寺にあるような、物理的に不均一でも精神的な調和、
 全体としてのバランスを大切にもしています」

このお話を伺ってすぐ浮かんだのが、お寺のお庭です。
京都などの有名なお寺のお庭などは、
見ていても立っていても座っていても落ち着き癒されます。
あのお庭って、全部計算されて寸分狂わず、
考え尽くされて置いてあるんですよね。
どこに何をおくか、どんな角度で、どのくらいの距離で…。
それが凄く当たり前のように、違和感なく生きているんです。
しかも、どの季節でも、いいのです。
その季節に咲く花や植物、風や雨などの天候も
きちんと考慮されて作ってあるお庭。
1日の24時間ですら、朝日の昇り方、時間による日のあたり方、
影の指し方、夕陽を見送るのも、月を眺めるのも、
どれもその一番きれいに見える在り様を、ひとつの庭で、
自分の目、心ひとつで感じることができます。
見てるだけで心が無になる景色。お寺の庭が、苔が、木が、石が、
そのまま空や地中、人の心の中、過去、未来にまで繋がりそうな
永遠を呼び起こし、そのお庭全体が世界のようですね。

 「『家を建てるときは瓦3枚残す』という言葉があるように
 完成していないよと見せることがあります。
 建物は完成した瞬間から崩壊が始まる、
 だから、完成させないことで、壊れないことを願ったんですね。
 また、建物を建てるときは、1本だけ柱を逆さにする伝統があります。
 日光東照宮の陽明門は12本の柱のうち1本逆さで、
 【魔除けの逆柱(まよけのさかさばしら)】として有名です。
 何故、この1本だけを逆さにするのかというと、
 人間、絶対完璧じゃないよ、間違えるんだよ、という意味や、
 やはり、これも「建物はまだ未完成である」とみなし、
 建物が長持ちするよう願ったといわれています」

そういえば、以前、ある設計士さんから
「日本の住宅は、昔は遊びがあった。いい意味でゆとりがあった。
でも、現代になってから、なんでもかんでも、きっちりする傾向がでてきた。
全部釘で押さえつける、締め付けるような…。そのため、逆に、ゆとりがなく、
直接、打撃に脆くなってしまっている」という話を聞いたことがあります。
でも、それは建物だけではなく、
今の日本人のこころの問題にも繋がっているような気がしました。

星野さんのお話を伺って感じたのは、建物のゆとりは
「人間、絶対完璧じゃないんだよ、人間、間違えるものなんだよ」
という発想からきているように思いますし、
今も苦しみ悩んでいる人に知ってもらいたいですね。
贅沢すぎるなんでも叶う豊かな生活の中で、
こんなこともできない、これじゃいけないと、
自分で自分が許せない完ぺき主義ゆえの自己否定を重ねていけば、
その人の良さもどんどん剥がれていってしまい、
生きるのが嫌になってしまいます。
いい加減、不真面目な自己主張は眉唾ですが、
さまざまな状況、心模様を、許す、許さないではなく、
さらりと通り過ぎる風のように、受け流してあげられるような、
広さとゆとりを持ちたいものです。


★今回、家のタネとは別に
「とんぼ玉」の魅力について星野さんに語っていただいたレポートを、
にこにこネットで掲載しております。よろしければ
http://report.2525.net/2007/08/post_f0e1.html
こちらも、一緒にご覧ください!

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